精十郎日記

若年性パーキンソン病とDBS(=DeepBrainStimulation脳深部刺激療法)と僕(40代・次男)

自分カルテ⑤~中学生編~

一体、入院して何が楽しいの?って普通は思うだろう。

一番大きかったのは、精十郎は入院して恋をしたのである。

 

たまたま入院した病棟が小児科病棟で、たまたまそこに同級生の女の子Kちゃんが入院してきたのである。

Kちゃんの病名やどんな症状があったか覚えてないが、はるばる他県から治療のために入院してきていた。

覚えているのは、Kちゃんは、特に手術などは必要ではなかったと思う。

薬を飲んでいたかもわからない。

 

正直、可愛かった。

すぐ仲良くなった。

でも、付き合うとかコクるとかそのときは、好きという気持ちをどうしていいかわからなかった。

だけど、毎日のようにKちゃんのところに遊びに行ったし、僕のところに遊びにも来てくれた。

 

Kちゃんの存在が大きいのは確かだったが、そのとき入院しているメンツがよかった。

 

高校生の女の子Nさんもいた。

Nさんは、太もも辺りを大怪我をして、大掛かりな金具を取り付けていた。

ちょっと見せてもらったことがあったが、金具が明らかに肉体から飛び出していて、あとでその金具を取り外さなければならない。

Nさんは、松葉杖で器用に歩いてきて、他愛のない話をしてよく僕と遊んでくれた。

また、歳の近いKちゃんとも同じ部屋で、ふたりは姉妹のように仲良しだった。

 

思い出深いのは、同部屋の野郎たちである。

野郎といっても、小児科なので、小学1年生と5年生の男の子。

便宜上、小学1年生がSくん、小学5年生がTくんとしよう。

Sくんは病室を入って右側のベッドにいた男の子。

落ち着きがないというか、やんちゃというか、明るいというか。

記憶では、足を複雑骨折していて、ギプスをはめていた。

遊んでいて、大きな岩が足に落ちてきたとか、だったと思う。

Sくんは、ベッドにいつもいた。

やんちゃ盛りで、いつもベッドの上を所狭しとばかりに飛び跳ねていた。

でも、Sくんは、自由に歩けない状態だった。

だから、しょっちゅう尿瓶の取替要請をナースコールしていた。

 

そして、TくんはSくんの隣にベッドだった。

Tくんは泣き虫で、でも明るくて、やっぱりやんちゃだった。

Tくんもずっとベッドの上で器用に用を足していた。

というのも、Tくんは、膝をベッドの上に固定された状態にあったからである。

原因は、事故かなにか、それは覚えていない。

 

この大部屋では、僕、Sくん、Tくんは、僕が退院するまで固定していた。

それで、SくんとTくんは仲良しなんだが、毎日のようにこれまた喧嘩もするのだ。

うるさいし、一応年上だった僕はそれを怒ったり、なだめたりする毎日。

さらに、これにKちゃん、Nさんも加わり、毎日大騒ぎなのだ。

入院しているのに、みんなの笑顔が絶えなかった。

いつしか、僕はみんなから「兄ちゃん」とか「お兄ちゃん」とか呼ばれるようになっていた。

年上であるはずのNさんも同級生のKちゃんも面白がって、僕をそう呼んでいた。

 

ちなみに、僕次男なんだけど。

 

つづく。