僕は手術をして、よかったと思っている。
結果論だと言われればそれまでだが、手術によって約10年の間、やりたいことをできたし、かけがえのない思い出もできた。
DBS、タイトルにあるとおりDeep Brain Stimulatinonの略。
日本語で脳深部刺激療法。
大まかにいうと、脳に電気の刺激を与える電極を左右に埋め込み、その刺激によって、パーキンソン病の症状の軽減もしくは改善するというものだ。
ちなみに、薬事療法はそのまま継続されるが、症状が軽減され減薬につながる可能性もある。
減薬すれば、当然副作用のリスクも減る。
術後、なんら日常生活には何も支障はなく送れる。
強いて言うと、格闘技などはできないかもしれない。
なぜなら、胸部に電気を流すための機器を埋め込む必要があるからだ。
この部分が皮下に埋め込まれる。
これが壊れる危険性があることは避けるしかない。
このときは、手術は自分で決めた。
予め、特定疾患受給者証を取得して。
だから、治療費、いわゆる手術自体に費用は発生しなかった。
なるようになれ、なるようにしかならない。
でも、このままでは嫌だった。
もう中学生ではなく、大人なんだから自分で決めた。
そして、入院する前に外来で医師から本人と家族に説明をしていただいた。
よく憶えているのが、一緒に医師の説明を聞いていた父が気分が悪いと言い出し、診察室のベッドに寝かせてもらったことがあった。
ひとがやることなので、100%はない。
でも、よくなる可能性があるなら、と思った。
身体の中に機械を入れることに関して全く抵抗がなかったわけではない。
だけど、身体の中に異物を入れるのは、中学生のときに経験済だったので、それほどではなかった。
手術はもちろん楽ではない。
苦痛を伴うのはもちろんだ。
でも、まだ歩きたかった。
それが、僕の支えだった。
つづく。